世界各国の寝具文化と日本との違い(快眠セラピスト・睡眠環境プランナー 三橋美穂)

お布団の知恵袋 三橋先生
世界各国の寝具文化と日本との違い(快眠セラピスト・睡眠環境プランナー 三橋美穂)

その昔、古代日本ではムシロやゴザを敷いて寝ていました。
綿の布団が普及し始めたのは、木綿の栽培に成功した1500年以降です。江戸時代でも、布団は超高級品。
記録によると布団3枚で100両。現代の貨幣価値に換算するのは難しいものの、1両を12万円とすると、布団3枚で1200万円!1枚400万円もしたのです。庶民にまで普及したのは、実に戦後のことです。

畳まれた布団のイメージ写真

畳文化の日本では、夜は布団を畳の上に敷いて、日中は押し入れの中に収納するスタイルが主流でした。寝心地は硬めなので、臀部が落ち込みにくく、睡眠中の姿勢が悪くならないメリットがあります。体の部位の中で臀部は最も重く、全体の約44%を占めています。敷き寝具が柔らかすぎると、臀部が沈んで腰に負担がかかりますが、布団ではその心配が少ないといえます。

ただし硬すぎると体が部分的に圧迫されて、血行がわるくなって痛みが出ることがあります。

ベッドマットレスのイメージ写真

日本と欧米のマットレスの主な違いは「硬さ」です。アメリカで人気のメモリーフォーム(低反発)は、食パンのようなもっちりとした柔らかさが特徴。ヨーロッパで人気のラテックスは、マシュマロのような柔らかさとゴムのような弾力を合わせ持っています。柔らかいマットレスは横たわった瞬間にやさしく包み込まれることで、リラックスできます。

ただし柔らかすぎると臀部が落ち込むので、姿勢の崩れやすさと表裏一体の関係です。理想的なマットレスは両方のよさを合わせ持つ、表面は柔らかくて土台は硬めのものといえます。

インテリアが整ったベッドルームの写真

現代の日本では、枕もマットレスも計測をして、その人にピッタリ合ったものを提供するサービスが増えてきました。
これは日本人が寝具に「機能性」を求めているからでしょう。欧米ではベッドは「インテリア」の一部なので、機能はそこそこに見た目を重視する人が多い傾向があります。

日本人は機能の先は、インテリアとしても楽しめるようになるといいですね。

三橋美穂(快眠セラピスト・睡眠環境プランナー)

全国での講演活動のほか、寝具や快眠グッズのプロデュースも手がける。著書に『眠りのさじ加減 65歳からのやさしい睡眠法』(青志社)ほか多数。
わかりやすく実践的なアドバイスには定評があり、NHK「あさイチ」TBS「ひるおび!」日本テレビ「ヒルナンデス!」など、テレビ番組にも出演多数。

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